人知れず泣いたことは、きっとだれにでもあると思います。あなたの心にも、そんな涙が秘められているのではないでしょうか?
その涙から目をそらして、一日一日、気をまぎらわせて生きていくことも、涙なんか忘れたふりをして生きていくこともできると思います。
けれども、あなたが正直に一生懸命生きようとすればするほど、どの人の心にも同じ涙があることがわかるでしょう。
大切なことは、その涙をしっかり抱きとめることです。そんな体験をくぐりぬけてきた自分を認めて、心から慈しんであげることなのです。
人生にはないほうがよかった体験など、ひとつもありません。
だから、もう心の傷をごまかさないで。今は心を痛めた体験の意味がわからなくても、きっといつかわかるときがやってくるから。
そっとぬぐった涙は、あなたががんばったという証です。それがあったから、いまここにあなたはいるんですよ。
文 作家心理カウンセラー宇佐美百合子