許すことは忘れること

誰かを許せないと思ったとき、

心の中で叫んでいます。

私は被害者だ。あいつが加害者だ

 

どうしても許せないのなら、

許したふりはしないで、

許せないというはっきりした態度を示すことでしか、

問題は進めないようです。

 

でも、その感情を引きずることで、

いちばん苦しみ傷つくのは本人なのですね。

 

本来許すというのは忘れること。

そんなことがあったということすら、

忘れてしまうこと…

 

そうだとしたら、許すというのは、

穏やかさを取り戻す愛の行為にほかなりません。

誰かが自分を傷つけたことを許すというより、

自分が傷つく体験をしたことを、

自分自身に許すことなのかもしれませんね。

 

許すことが、自分自身に対する愛だとしたら、

ずっと覚えていることではなく、

愛を注いだ瞬間に、

忘れることだと思いませんか?

 

そのときはじめて、

心の中のやすらぎが戻ってくることでしょう。

 

 

文 作家心理カウンセラー宇佐美百合子