生きている尊さ

この世に生まれることは、

だれからも、祝福されることなのに、

 

この世を離れていくことは、

どうしてみんな、忌みきらうんだろう。

 

話題にもしない。

 

自分が人生を卒業するのが、

どうして縁起でもないってこと?

 

ぜったい永遠にはいきられないのに、

死ぬことをぜんぜん考えないのは、

やっぱりおかしい。

 

どんなに偉くても裕福でも、

平等におとずれる人生の卒業。

 

それって、ほんとうは、

いやなことでも悲しいことでもない。

 

おつかれさまって、

ほほえんで見送ってあげて、

どうしていけないの?

 

旅立つ人のことを、どうして気の毒がるの?

 

みんなが、死についてもっと上手に受け入れて、

きちんと心の準備をして生きられたら、

どんなにいいかって感じる。

 

きっと、いまよりずっと、

限りあるいのちを大切にして、

ときを粗末にしなくなるとおもう。

 

生きている尊さを、もっとかみしめるとおもう。

 

 

文 作家心理カウンセラー宇佐美百合子