見守る影

子どものころ、

だれかに、じっとみられてるような気がした。

 

それは、

決してこわいものじゃなかったけど、

ひとりぼっちになると、

ところかまわずトイレのなかまで、

その気配を感じた。

 

もしかしたら、

タマシイの自分を、

つきまとう影のように感じたのかも…

 

それは、いまおもえば、

肉体をまとってとまどう分身を、

そっと見守る保護者のようなまなざしだった。

 

しだいに知恵がついて、

いいも悪いも

人間らしくふるまうようになると、

その感覚は消えてしまった。

 

だけど、

大らかなまなざしは、

ほんとうは少しも変わることなく、

 

いまも、これからも、

自分のカラダとココロを、

 

そっと見てる。

 

 

文 作家心理カウンセラー宇佐美百合子