2020-06-06 大きな木 大きな木に抱きついて、 両手をそっと木肌にあてた。 こころが凍りついたように縮こまって、 言葉が出ない。 ただ目を閉じて、じっとしてた。 すると・・・ 先に、木が動いた。 手のひらに風が吹いて、 カチカチに凍りついたこころが、 ゆるゆると溶けていく。 思わず、 おでこも木肌にすりつけた。 大きな木は、 とほうもなく大きくなって、 わたしは、木のなかにたたずんでいた。 作家・心理カウンセラー宇佐美百合子