春はすぐそこに

やせた木が、
春を待ちこがれて
ふっくらと新芽をつけた。


ひとつひとつの小さな芽は、
今にも吹きだしそうな勢いだ。


ひとつひとつの小さな芽が、
ひとりひとりの顔に見える。


人生の寒風に耐えた、と、
いわんばかりの顔、顔、顔・・・


じきに、春一番が吹く。


これまでためこんだ力を
思いきり発揮できるときが、


すぐそこにきている。





文 作家・心理カウンセラー 宇佐美百合子